と、いっても一ノ瀬蛍は何も言い返してないが。
ただ真っ直ぐ見据える瞳はずっと変わらず。
一ノ瀬蛍を囲んでいる女共はそんな彼女が気に入らなかったのだろう。
ついに真ん中にいる女が手を振り上げた。
俺はムービーを撮るのを辞め、パシッと女の手を掴んだ。
「…と、透様!?」
…なんでコイツ俺の名前知ってんだよ。
俺コイツのこと知らないんだけど。
つかこの状況でよく後ろの奴らキャーキャー騒げるな。
そして一ノ瀬蛍は気味が悪いくらい真っ暗な瞳を今度は真っ直ぐ俺に向けていた。
「…何、してたんだ。」
俺はとりあえず聞いた。まぁ、見ていたからだいたいは知っているが。
「い、いえ…ちょ、ちょっと一緒に世間話をしていただけですよぉ。」
「そうか。」
「そうなんですよぉ!あ、透様ぁ、今日放課後空いてますぅ?よかったらぁ、遊びに行きません??」
俺に手を掴まれていた女はあろうことか、そのまま俺の腕に抱きついてきた。


