──いた
目的の人物は割とすぐに見つかった。
俺の席からひとつ飛ばした列。俺の隣の隣の席。
といっても周りが桜龍のため現在、俺の隣の席のヤツはいない。
そのため俺の席から一ノ瀬蛍がよく見えた。
まぁ俺の視線には誰も気づかないよう、気配は消してるが。
一ノ瀬蛍は胸まである綺麗なストレートの黒髪に同色の目、化粧もそこまでケバくなかった。
肌も透き通るように白く、伏し目がちな目を縁取るまつ毛も長い。
スカートからスラリと伸びた足も細く、まぁ世間一般的に言う美少女…というものだろう。
誰とも喋らずただ何かに耐えるように姿勢を伸ばし読書をしている様子は好感が持てた。
チャイムが鳴り俺は誰かに話しかけられる前にすぐに教室を出た。
理事長室の扉を開けると、昴が優雅にティータイムをしていた。
「お前、仕事しろよ。」
「ちゃんと仕事はしてるよ。今は休憩タイムなだけだ。休憩も取らないと効率悪くなるしな。」