「すみません。紫苑は無口なんです。」
「あぁ、別に大丈夫だ。」
「ありがとうございます。僕は西園寺 翠(さいおんじ すい)。桜龍の副総長です。」
若干胡散臭い感じはあるものの緑メッシュの西園寺はニッコリ笑った。
そして中心にいる男ではなく、お前はパンダかというほど目の周りが真っ黒な化粧の濃い女が話し始めた。
正直、喋らないでほしい。
「私はぁ、桜姫(おうき)の相澤 姫華(あいざわ ひめか)ですぅ。よろしくお願いしますねぇ。」
「…あぁ」
予想通りの猫なで声と語尾を伸ばした喋りかたで自己紹介をした相澤は俺を媚びるような目で見てくる。
コイツ、その辺にいる女と変わらないじゃん。
なんで桜龍はこんなヤツ姫にしたんだよ…。
うんざりしつつも、中心にいる金メッシュの男に視線を向ける。
「…俺は桜龍5代目総長の黒崎 輝(くろさき ひかる)だ。おい、俺らは自己紹介したぞ。お前もさっさと何者か言え。」


