一緒に歩いている同じ学校の制服を着た生徒達の中に、もしかしたら犯人がいるかもしれない。

スマホを見ながら歩いているあの通行人が、もしかしたら突然ナイフを出してきて葉月に襲い掛かるかもしれない。

もしかしたらあの人が、それともこの人が……。

ずっと警戒しながら歩く通学路は、とても長く感じられた。

やっと学校に着いたとき、私ははーっとため息を漏らした。

「なんか登校するだけですっごい神経使っちゃったよ」

と、葉月は笑った。

「そうだね…。とりあえず学校には見張りの先生がいるから、変な部外者とかは入ってこないだろうし、たくさん人がいるから殺されることはないと思うけど…」

「気は抜けないよね」

「だね。葉月、今日は私から離れちゃダメだよ!」

「うん、そうするよ」

教室に着いた。

さすがに、ここで殺人をしようという人はいないだろう。

ここにいる間は、安心できる。