そう言って、田鍋さんは鞄から私が昼休みに渡したペットボトルのジュースを取り出した。

「それは…」

「あーあ、あなたがついてきたせいで、変に遠い場所まで歩かされるハメになっちゃった。そうそう、どうせだからあなたからもらったこれ、飲んじゃおうっかな?」

田鍋さんはペットボトルの蓋を開け、ジュースを飲もうとした寸前で、ペットボトルの中身を全て捨てた。

「!!」

「あのさあ、こんなバカな計画に私が引っ掛かるとでも思ったわけ?ペットボトルに入っている飲み物、しかも蓋は開封済みの感覚があった。絶対何か混ぜたでしょ?」

全てバレている…!

「あなたって、本当にバカなんだね?」

くすくすと笑う田鍋さん。

どうして、どうしてバレているの!?

だって、未来予知botは田鍋さんが死ぬって予知していたのに!

…田鍋さんが死ぬ?

ああ、そっか。

別に毒じゃなくてもいいんだ。

「ねえ、田鍋さん…。あなたのほうこそバカだよ。わざわざこんな人のいない林なんかに来てくれちゃってさ」