審判係の私達が喋っていると、試合中の田鍋さんと目が合った。

私はニコッと笑ってあげた。

すると、田鍋さんはビックリしたような顔をして、目を逸らした。

「今…なんかあった?」

葉月が言う。

「ううん、なんでもないよ」

私は首を横に振った。

そう、今はまだなにもない…今はね……。

「ふふふ………」

昼休み。

私は、田鍋さんの席へ行った。

「田鍋さん、これあげる」

そう言って、私はペットボトルに入ったジュースを渡した。

「え、あ、ありがとう……?」

田鍋さんは戸惑いながらも受け取った。

それが毒入りとも知らずに………。

私は、田鍋さんがジュースを飲むのを今か今かと心待ちにしていた。

しかし、田鍋さんは結局昼休みが終わるまでジュースを飲まなかった。

「クソッ…」

でも、まだまだ時間はある。

焦ることはない。

そう思っていた。

しかし、田鍋さんは放課後になっても一切ジュースに口をつけなかった。