お母さんが何か言いかけたが、私は電話を切った。

急いで家に戻らないと!

私は、全力疾走で道を走った。

「はっ、はっ、はっ……」

途中、何度も何度も信号に引っ掛かる。

「ああああ!!」

もう、こうしている間にもレオンが大変だっていうのに!!

走って、走って、走って………。

ようやく、私の家が見えてきた!

「やったぁ……」

と私が笑顔になりかけた時。

「え………」

何故か、私の家の門から出て行く田鍋さんの姿が見えた。

さっきまであった嫌な予感は、更に大きくなっていく。

嫌だ、お願い、この予感は外れていて!

私はそう祈った。

だけど………。

「嘘でしょ…………」

力が抜けて、肩から鞄が落ちる。

「どうして…レオン………」

家の門の前で、レオンは倒れていた。

「レオン、レオン!」

体を揺さ振るが、反応はない。

「そ、そんな………!嫌ああああああああああああああああ!!!」