確かに、田鍋さんは私のことを憎んでいる。

「でも…私は田鍋さんにスマホの電話番号なんて教えてないし…」

「田鍋に教えてなくても、他の人から聞いたりしたかもしれない。それに、田鍋はよく職員室に出入りしているから、個人情報が載ったファイルとか盗み見したのかも」

颯に言われれば言われるほど、そんな気がしてくる。

授業中、私はずっと田鍋さんのことを見ていた。

「ふわあ……」

田鍋さんがあくびをした。

その様子を見て私は、葉月がこの前言った言葉を思い出した。

『かけてきた相手も今頃大分眠いだろうね』

やっぱり…犯人は田鍋さんなんだ………!!

許せない。

後で、田鍋さんを問い詰めよう。

そう思ったとき、スマホのバイブが鳴った。

(やばっ…!)

「誰だ、今の!スマホは学校では電源を切れと言ってるだろう!!」

先生が怒り、犯人を探し始める。

コツコツコツ……と先生は教室全体を歩き出した。