体育の授業。

ボールの弾む音と、シューズのキュッキュという音、そして掛け声が体育館に響いている。

今、私達はバスケットボールをしている。

クラスの女子が7人、7人、6人の3チームに分かれて、2チームが試合をしている間、余った1チームがその試合の審判をするというルールだ。

私と葉月のチームはその審判をすることになっている。

と言っても、審判は2人くらいいればどうにかなるので、私と葉月は体育館の隅のほうで喋っていた。

今試合をしている人達の中には、田鍋さんもいる。

「田鍋さん、運動神経はあんまり良くないよね」

葉月が言う。

「顔も良くて勉強もできるんだから、運動までできちゃうのとさすがにチートすぎるから」

私がそう言うと、

「だよね~(笑)」

と葉月が笑った。

「てかさ、私…田鍋さんに嫌われてる気がするんだ」

「まあそうだろうね。だって田鍋さんは颯君のことが好きで、ひかりは颯君の彼女だもん。そりゃあ嫌われてるでしょ」