「あのときは……ごめん。確かにあの日、俺は田鍋さんに告白された。でも、ちゃんと田鍋さんのことは振ったんだ」

え…?

田鍋さんのことを振っていた……?

「じゃ、じゃあなんであのとき二人で…あんなこと、したの」

私は唇を震わせながら言う。

「それは……田鍋さんに頼まれたんだ。せめて、一緒に下校したいって。思い出がほしいからって。そしたら、急にキスされたんだ…」

「…」

「信じてくれないかもしれないけど……」

「…そうだね。そんな話、とても信じられないよ」

「…だ、だよな」

颯が悲しそうに笑った。

「普通ならね」

「え?」

「私は、颯が優しくてお人よしだってこと知ってるから。そんな性格のせいでバカな彼女を庇って、自分が怪我しちゃったこととか、私は知ってるから…だから…。私は、颯のことを信じるよ」

「ひかり…!」