葉月に腕を引っ張られながら、私はそんなことを考えていた。

しばらく歩いていると、公園に着いた。

「あ、いたいた。颯くーん」

葉月の視線の先には、ベンチで座っている颯がいた。

私が逃げようとすると、葉月は強く腕を引っ張った。

「逃げちゃダメだよ、ひかり!」

「だ、だって…」

「ひかり!」

「嫌だ、帰りたい!」

葉月と言い合いをしているうちに、さっきまでベンチで座っていたはずの颯が目の前にいた。

に、逃げられない………。

私がそう思ったことを感じたのか、葉月は手の力を緩めた。

「ひかり……」

颯が、唇を動かして私の名前を呼ぶ。

田鍋さんの唇と重ねた唇で………。

気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い……!!