「バカだ…」

颯は呆れていた。

「どうしよう、葉月!」

「んも~。じゃあ私がヤマ張ってあげる。んじゃあね…69ページだけ見ときな」

「わかった!頑張る」

私は、葉月に言われた69ページの単語だけを熱心に覚えた。

そして英単語テスト本番。

(うわ、本当に69ページの単語だけ出てきた!ヤマが当たるって私のヤマじゃなくて、葉月のヤマだったんだ!)

葉月のヤマが当たったお陰で、私はなんとか補習を逃れることができた。

「ひかり、よかったね」

「うん!葉月のお陰だよ。ありがとう!」

そこへ、颯がやってきた。

「ひかりー、帰ろう」

「うん。じゃあね葉月」

「ん、ばいばーい。また明日」

翌日、英語の授業で私達は先生に、

「前回の単語テスト、このクラスは大変平均点数が良かったです。さすが文系クラスですね」

と言われた。

「だって、なんでだろうね」

葉月にたずねると、

「さあ?」

と首を傾げられた。