そのお陰か、葉月は階段から落ちることはなかった。

帰りも気を抜くことなく注意していたので、予知を回避することができた。

「よかった、予知を回避できて。また颯みたいなことになったら嫌だもん」

「うん。あ、そうだ。今日私の家来ない?前に言ってたライブのDVDが昨日届いたんだ。一緒に見よう」

「行く行く!」

私は葉月の家にあがった。

「お邪魔しまーす」

「お邪魔されまーす。さあ入って入って」

そう言って、葉月は階段に向かって行く。

「え、階段……?は、葉月!!」

私が「気をつけて」と言おうとしたときだった。

「きゃあっ」

ドンッと葉月は尻餅をついた。

「葉月、大丈夫!?」

「う、うん」

幸い、葉月は階段を上がって三段くらいのところで落ちたので、お尻を少し強く打っただけで済んだようだった。

「まさか、家の階段から落ちちゃうなんて。学校の階段ばっかり注意してたから、気が抜けてたよ」

そう言って、葉月は立ち上がった。