「颯のときだって【彼氏が事故に遭う】ってだけで、颯がどういう怪我をするかは書かれてなかった。もしかしたら、葉月はもっとひどい目に遭ってしまうかも…」

「そんな大袈裟な…」

「だって…」

葉月はなかなか私の言うことを聞いてくれない。

「さあ、次は美術だよ。行こう」

そう言って、葉月が美術道具を持って教室を出る。

「ま、待ってよ!」

私はそれに続く。

美術室は一階にある。

階段を使わざるを得ない。

今度こそ、私がしっかり葉月を守らないと……!

「もう、ひかり私のこと見すぎだよ。そんなに警戒しなくても大丈夫だって。私が注意して階段を使えばいい話なんだから」

「そうだけど……」

美術室には無事にたどり着くことができた。

「ね、言ったでしょ。そんなに警戒しなくてもよかったって」

「でも、まだ用心しないと。教室戻るときも階段使うんだし」

「はあ…」

授業が終わり、教室に戻るときも私は注意して葉月のことを見ていた。