「ふっ」

私は、笑った。

だけど、すぐに顔を歪めた。


ナイフが、刺さっていない…………?

「ふふふふっ」

葉月が笑い声をあげる。

「どうして……」

「本当にバカだね、ひかり。防刃ベストだよ」

そう言って、葉月は私からナイフを奪い取った。

「そんな……」

「てっきり、私がひかりのことを信じたと思ったでしょう?ふふふっ、バカなひかりの考えなんて見え見えなんだよ。ひかりが隠し事しているときとか嘘ついてるとき、相手の目見てないでしょ?すぐわかっちゃうんだよなあ~。

あはははははははははははははっ」

葉月は、狂ったように笑う。

いや、葉月は最初から狂っていたと言ったほうが正しいのかもしれない。

「でも、そんなバカなひかりのことを、好きになっちゃった私もバカなのかもね」

ジリジリと近寄ってくる。

「やめて……来ないで………」

「大丈夫、颯みたいに痛いようにはしないよ。安心して」

そう言って、葉月は手にしていたナイフを床に捨て、スカートのポケットからスタンガンを取り出した。