カリカリカリ…とシャーペンで字を書く音。

カチコチという時計が時間を刻む音。

そして、たまに聞こえてくる眠っている人達の寝息。

そんな小さな音だけが聞こえてくる中、突然大きな音が全てをかき消した。

キーンコーンカーンコーン

テスト終了の合図のチャイム音だ。

「はい、そこまでー。後ろの人、前の人の答案用紙を上に上に重ねて持ってきてください」

試験監督の教師の指示に従って、一番後ろの列の人達が答案用紙を回収していく。

答案用紙は教師のもとに集められ、教師は枚数のチェックをし始める。

「もう最悪~~!はあああ~…もう絶対自己最低点数だよ」

私は、大きなため息をつく。

「ひかり、たまヤマ外したの?」

隣の席の葉月(はづき)が私にたずねる。

「うん…」
「当たったことないんだから、ヤマなんて張らなきゃいいのに……」

確かに葉月の言う通りだ。

私はテストがあるたびにヤマを張り、そして外す。