俺は今日ほど神に感謝した事はない。
なんと隣の席が噂の女王様だった。

中学を牛耳ってるとか先生に色目を使ってるとかヤンキーがバックについてるとか色々噂がある。
今回の新入生代表の挨拶も女王様が目立ちたくて手を回したらしい。

俺は面白いことが好きだ。面白い人も好きだ。
こんなに面白そうな人の隣の席にしてくれて神様ありがとう!

そんな事を考えていたらぼうっとしていたらしい。

「チッ」

斜め後ろの席の不良から舌打ちをされた。
この不良も噂されている奴だ。
不良のチームを一人で潰したとか喧嘩になったら勝てる奴はいないとか家がヤクザだとか。

女王様は噛み付いてきそうな不良に「雪斗」とただ一言言っただけで黙らせた。もしかしてバックについてる不良ってこいつか?

俺には2人の関係性がいまいち見えなかった。
どちらもお喋りな方ではないらしい。

「2人はどんな関係なの?」

すると女王様はこれ以上深入りしてくるなとでも言うように

「幼馴染よ」

と言ってにっこりと笑った。俺にはこれ以上深入りするなら容赦しないと言っているように見えた。
よろしくと言って握手をしたが俺になど全く興味が無いような素振りで机に向かって何かを見始めた。

幼馴染だという不良からは刺すような視線を感じる。俺が彼女に興味を持っているのが気に入らないらしい。

退屈しない素晴らしい学校生活になりそうだと緩む口元を押さえながら他の席の人へ声をかけるために席を立った。