「盃を。」




「「はい!」」




二人は盃を持ちながら前に出した。




「酒を。」




「はい。」




俺は、松原の盃に酒を注ぐ。


松原は盃を元に戻す。




次に東堂の盃に酒を注ぐ。


東堂も盃を戻す。




二人とも、飲む準備は出来た。



俺は視線を感じ、

じいちゃんの方を少し向く。



お前が言ってやれ。


と言うようにじいちゃんは頷く。



俺も頷き返し、二人に顔を向き直す。



二人とも俺の目をじっと見ている。





「飲め。」




俺がそう言うと、

二人とも一気に飲んだ。



そして、

懐紙を出す。


それで盃を包み、懐へしまう。




一連の動作が終わるやいなや、

静まり返っていた場が、

この日一番大きな歓声に包まれた。




そして徐々に、

宴会の席に戻っていった。



歓声や、

二人へのみんなの言葉が落ち着き、

二人が俺に近寄ってきた。





「「親分!

これからよろしくお願いします!」」





二人していい笑顔で言う。





「あぁ、よろしくな。」





そう言う俺も、思わず頬が緩んだ。





それからは完全に宴会が始まった。



今回俺の両脇には、

松原と東堂が座っていた。