『先手必勝ってやつ?いいね、俺もその手好きなんだよねー。
じゃあ、遠慮なく先手打たせてもらいましょうか!みなさーん!もういいですよー!!
遠慮なく出てきて、やっちゃってくださーい!!』

朝陽の声を合図に、大堂の回りにあった着ぐるみ達が突然動き出した。
なかなかシュールな光景に陽菜も大堂も思わず顔が引きつるが次の瞬間、大堂は顔色を失った。

大量の着ぐるみの中から出てきたのは大人数のマスコミだった。

「大堂さん!今までの話は全て聞かせてもらいましたよ!!」

「我々を騙して嘘の情報を流したのは何故ですか!?」

「先程の写真や映像や音声から分かる秋村さんへの窃盗行為に自身のマネージャーや同じ所属事務所の後輩への脅迫。
法に引っ掛かる可能性もありますが、何故このような行動を!?」

「他にも大堂さんのせいで被害を受けた方が大勢いるようですが、その方々に伝えたいことはありますか!?」

「大堂さん!何か答えてくださいっ!!」

「や、やめろーーーっ!!!」

大量のマスコミに囲まれ次々と質問される大堂は、ついに頭を抱え叫びながら崩れ落ちた。

「終わったな……」

堀原の呟きに、全員が声なく手を握りあって喜びを分かち合う。

ーー終わった……。

安心した陽菜は緊張から解放された瞬間に力が抜けてグラッと体が傾いたが、後ろから誰かに抱きしめられて地面に膝を着くことはなかった。