私のお弁当の2倍はありそうな量をぺろりと平らげて、千藤君は紙パックのジュースを一気に飲み干した。

「はー腹一杯になった!」

そう言って満足そうに笑う千藤君を見て、私も笑ってしまう。

「それだけ食べればお腹いっぱいにもなるでしょう」

「こんなん楽勝だろー!
田宮さんももっと食べれば?」

言いながら、おもむろに手を握ったり開いたりしてみせた。


「なにしてんの?」

「田宮さんも手、開いて」

「こう?」

「…やっぱちっせえー!!動物の赤ちゃんの手みたい!」

そう言って大笑いする千藤君に唖然とする。
人の手を見て動物の赤ちゃんの手みたい、って失礼すぎない?

「…あ!ごめんごめん怒った?うそうそ今のうそ!ちょっとだけうそ!」

「ちょっとだけうそって何よ…」

そう言って睨めば、千藤君はまた可笑しそうに笑った。