「ネプチューン」

部屋の奥に置かれた玉座のような椅子に、高貴な王のように座る年老いた男性が訊ねる。

「うまく証拠も隠滅したのかね?」

ネプチューンは男性の前でひざまづき、「はい、完璧に」と答えた。

ここは犯罪組織・プルートの密会場の一つ。プルートは殺人、誘拐、違法薬物製造など様々な犯罪を犯す組織だ。その組織の存在は、公には知られていない。

しかし、その組織ほど残虐なものはないだろう。邪魔だと判断された人物は、例えどこにいたとしても始末されるのだから。

玉座に座っている人物は、プルートの親玉であるジュピターだ。自分の排除したい人間はためらいなく殺してもらう大罪人だ。

ネプチューンやジュピターというのはもちろんコードネーム。互いの本名は知らない。この世界では、犯罪を犯すことができれば後はどうでもいいからだ。

ネプチューンはプルートに入って四年目。百六十六センチと女性にしては背が高い方で、射撃や武術・剣術に優れている。

ネプチューンを部屋に入れた白い髪の男性は、ウラヌスという。ジュピターの右腕とも言われる存在だ。