小さく叫びつつ身体は前屈みになり、そのまま耀の胸へ倒れ込む形になってしまった。彼の腕は私の背中に回されて、しっかりホールドされている。

優しい鼓動や体温がダイレクトに伝わってきて、驚きと緊張で声が出ない。私、こんなにウブな女じゃないのに。

胸にぴたりと頬をくっつけて固まる私に反し、耀はとても心地よさそうだ。


「なんか安心するな……。このまま一緒に寝ようか」


髪を撫でながら甘い声が囁き、私の心臓はドッキンと大きな音をたてた。

もう子供じゃあるまいし、いろんな意味で寝られるわけがない……じゃなくて! きっと冗談なんだから真に受けちゃいけないんだって。

手離しかけていた理性を取り戻した私は、身体に力を入れて上体を起こした。そして、うっすらと瞳を開ける彼の両手を引っ張る。


「変なこと言ってないで立つ! しょうがないから泊めてあげるけど、こんなとこで寝ないで」

「ありがとー。今日のなっちゃんはお姫様じゃなくて神様……」


ぶつぶつと呟く彼をなんとか立たせ、腕を絡めて1Kの部屋の中へ連れていく。もはや酔っ払いを介抱している気分だ。