「あの頃は、キツいことばっかり言ってごめんなさい。それと……ありがとう。耀のおかげで、こうやって自分の悪いところを見つめ直せる」


愚かな私は、何度も失敗を繰り返してきた。けれど不思議なもので、耀といるとその行いを悔い改めることができるのだ。

十数年前の“ごめんね”と、現在も続く“ありがとう”の気持ちを伝えられたことで、私は自然と清々しい表情になっていた。

しかし、真面目な空気になるのは少々恥ずかしくて。

「ま、外面をよくしても中身はそう簡単に変わらないんだけどね」と照れ隠しで言い、苦笑を漏らした。

慣れない空気になんだかそわそわしてしまい、とりあえずグラスに手を伸ばす。すると、隣から穏やかで力強い声が聞こえてくる。


「失敗したとしても、ちゃんと反省できてるんだから大丈夫。自分を卑下することない」


慰めが胸に染み入るのを感じていると、頭に優しくポンと手を乗せられた。

動きを止めて目線を隣に向ければ、いつにも増して男らしく魅力的な笑みを湛える耀が、さっきよりも近い距離に映る。