そんな私から視線を逸らさない耀は、なぜか優しく微笑む。つい先ほどの、小悪魔のような彼は影を潜めている。


「やっぱり、なっちゃんはいい女だね。言葉がキツいから誤解されやすいけど、心の奥はすごくあったかくて、素敵な人」


思ってもみない言葉を投げかけられ、私は目を丸くする。本性を知っている人からこんなふうに言われたのは初めてだ。

というかあなた、私に仕返ししようとしているのよね? 私のことを嫌っているはずなのに、どうしてそんなセリフが吐けるわけ?

矛盾している彼の言動に混乱し、私はこめかみに軽く手を添えて眉根を寄せる。


「あんたの思考回路はどうなってんのよ。私、そんないい人じゃないし──」


困惑を露わにして吐き捨てていたとき、耳にかかる髪がそっと掻き上げられ、口をつぐんだ。

彼の手による仕業だと気づくと同時に、温かく大きなそれが頬に当てられ、心臓がドキンと跳ねる。

驚いて目線を上げれば、男の色気を漂わせた瞳に射抜かれる。こんな耀は、もちろん見たことがない。


「自覚してないみたいだから、僕がきっちり教えてあげる。本当の君も魅力的で、愛されるべき女の子だってこと」