そこまで言ったとき、耀が私をじっと見つめていることに気づき、にんまりしていた笑顔が固まる。

うわ、私……今、めちゃくちゃウキウキしていたよね。かつては愛想ゼロで、『なんにでも“カワイィ~♪”とか言う女子ってどうなのよ』と毒を吐いていたこの私が。

というか、今日の打ち合わせ中ずっと気品よくニコニコしていたし、昔とのあまりの差に絶対引かれているに違いない。今さらながら気まずさでいっぱいになる。

しかし、私の不安をよそに耀の顔にはふわりと笑みが広がっていく。引くどころか、とても嬉しそうに。


「そうでしたか。そんなに気に入ってくださっているなんて、デザイナー冥利に尽きるでしょうね」


温かな声色で返され、私は若干拍子抜けするも、この場で本音を口にするわけにもいかないだろうなとすぐに納得する。今のは彼の大人の対応なのだ。


「綾瀬さんのお話、必ず本人に伝えます。これからの活動の原動力になるに違いありません」


しかし、真剣な色の瞳をまっすぐ向けてそう言われると、たとえただの社交辞令だとしても救われる気がした。