耀がかける言葉は、まるで魔女の呪いを解いてくれるかのよう。そのたび、新しい自分になれる気がする。

黙ったまま頬を紅潮させるだけの私に、彼はクスッと笑って茶化してくる。


「今日は“眼科行け”って言わないの?」


ムードを壊すな、と文句をつけたくなりつつ、再会したばかりの頃のやりとりを思い出して苦い笑みを浮かべた。

以前なら、きっとそうツッコんでいたはずだし、この先も毒舌は完全には直らないだろう。でも、これまでの私は絶対に言わないことを、今なら口に出せる。


「……その代わりに、一度だけすっごく恥ずかしいことを言うわ」


前もって宣言すると、キョトンとする彼を見上げ、意を決して口を開く。


「これからもずっと、私だけの……王子様で、いて」


驚いたように目を見開く彼を見たら、急激に羞恥心が襲ってきて、沸騰するくらい熱くなる顔を俯かせた。

こんな乙女チックで背中が痒くなるようなお願いができるのも、呪いが解けたせいだろうか。それとも、甘くなる魔法にでもかけられたのか。

そんなことを考えているうちに、耀の腕が身体に回され、あっという間に抱きすくめられる。