そういえば、初めてここで挨拶したとき、Akaruのファンだと公言してどこが好きなのかを力説してしまったっけ。

耀はとっても嬉しそうな顔をして、『デザイナー冥利に尽きる』と言っていた。あれは本当に自分自身の気持ちだったのだ。


「話してたのが、まさかAkaru本人だったなんて……恥ずかしすぎ」


私は持ったままの手帳に目線を落として呟いた。その視界に、すっと耀の指が伸びてきたかと思うと、私の手ごと手帳を持ち上げる。


「実は、このモデルはなつみだったりする。君を思い出して描いたものだから」


黒いシルエットの女の子を指差して得意げに言われ、私は目を丸くした。

小さな冠をつけてAラインのドレスを纏う彼女。どう見てもプリンセスのこの子と、魔女と比喩される私とでは、似ても似つかない。


「えぇ? 私の要素なんてどこにもないじゃない」

「僕にはずっと前からお姫様に見えてたってこと」


ドキリ、幾度となく胸が鳴る。

とろけるような笑みでそんなセリフを口にされたら、もう照れてしまって仕方ない。けれど、好きな人にそう言ってもらえるのは、女としてやっぱり嬉しい。