重い瞼が自然と開き、まどろむ瞳にカーテンの隙間から差し込む柔らかな光が映る。

あれ、私いつの間に寝て……って!

昨夜のことを思い出した私は、ガバッと勢いよく起き上がった。まだ見慣れない部屋はしんと静まり返っていて、ベッドにいるのも私ひとり。

ぽかんとするも、素肌が露わになった背中が寒くて再び毛布に包まる。裸のままの状況からして、昨日の情事は夢ではなかったのだと安堵した。

しかし、耀はどこにいるのだろう。昨日は確か、心地よい疲れですぐに眠ってしまったのだと思うけれど、彼も一緒に寄り添って寝たはず。

愛しいぬくもりがなく、物寂しい気分で部屋を見回すと、時計が視界に入った瞬間目を見開いた。


「やっば、遅刻する!」


私は慌ててベッドから飛び出す。時刻は七時半。急いで準備をして出ないと、社長より前に出社することができない。

とりあえず昨日の服を着ていると、テーブルになにか置いてあることに気づく。私のものとよく似た鍵と、綺麗な字で書かれたメモだ。


【Akaruが寝かせてくれないので先に行きます。合鍵使ってね】


どうやら耀のほうが先に職場へ向かったらしい。彼の普段の出勤時間は私より遅いと聞いていたが、トラブルかなにかだろうか。