「ミイナ……」
「見ないで！」

ミイナにはそう言うしかもう手段がない。

ハルキの手はミイナの背に触れたままだ。


「もう、違うんだから、見ないで。忘れて…。」

掠れたような声で訴えるのが、精いっぱいだった。

背中に置かれた手が頭の方に動く気配がして、ビクッと震える。
と、手が止まり、わずかな間をおいて離れていった。

その手が微かに震えていたことは、気づかぬふりをした。


「わかった。」


ハルキは踏み出した足を引いて、元の場所に戻った。

視線が背中に突き刺さるのがわかる、痛いほどに。