消しゴムに押し潰されるというのは、まあ悪くない経験だった。

嘘です。
幸せ過ぎてちょっと涙ぐんじゃった。

それも嘘です。
かなり泣いてしまいました。

廣瀬さんの指が私の髪の毛を通るごとに、なんだかよくわからなくなっちゃって。
5km走ってもさほど乱れないその呼吸が、深く肩にかかった瞬間、うっかり体脂肪のことも忘れてしまった。
力加減のわからない廣瀬さんに「苦しい」と言ったら、「ごめん」と解放してくれたけど、今度はさみしくなって、結局「苦しくていいから離れないで! でも死んじゃうギリギリ手前で止めて!」と泣きながら無理難題をぶつけて困らせた。
ああ最悪……。
抹殺したい人ランキング、第一位『西永優芽』。

「ふふ、気持ちいい」

そんな彼は、ぷにぶにと私の二の腕に指を埋めて遊んでいる。

「絞め殺したい!」

抹殺したい人ランキング、第一位『牧廣瀬』!
急上昇!!

「なんで。単純に女の人って、やわらかいものでしょ? 優芽は別に太ってないよ」

布団をめくって再確認しようとするので、顔をバシバシ叩いて追い出した。

「いたたた!」

「変態! 変態! 予定になかったから下着も気に入ってないし、もう見ないで!」

わかっていたならエッッロい下着のひとつでも買って、ウエストサイドから意識を逸らす作戦もできたのに、今の下着には機能性しかない。