長い校長先生の話と無駄に多い来賓の言葉を聞いて最後の校歌斉唱になった。


そして、校歌とともに今までのことを自分の中で振り返ってみた。






よく、考えたら私はどちらかというと先生に嫌われいる気がしていた。

ななせと違って




話面白くなくて

物静かで

真面目で


先生の好みとはかなり違う。




なのに、あの研修ですべてが変わった。



私も




きっと先生も




いまでも先生が正直どう思ってくれているのかはわからない。




でも、私はずっと先生のことを好きでいたい。












目を開けると自然に涙が出ていた。



そして、いつの間にか卒業式は終わっていた。









最後のHRはあっさりと終わっていった。





「ななせ、これからどうする?」






「ごめん、今から髪染めに行く!」




「あっ、そうなん!?おけ」



そう言って私たちは別れた。





私は何となく生物準備室へ行ってみた。







「失礼します」






奥から






「なに?」






そう答えるのは先生だ。



「入って」


先生は鍵を閉めて初めて更衣室に連れていってくれた。



「初めて来た」



というと


そっと抱き寄せて



「卒業おめでとう」



と言ってくれた。






「ありがとう。先生に会えてよかったよ」



「なんだそれ、まるで別れるみたい」




「違うよ。卒業式の時に思ったんだ。」



「何を?」



「先生に出会えてよかったなって。正直、私のこと嫌いだったでしょ?でも、ななせのおかげで同じ部活に入って、副キャプテン任せてくれて、そのおかげで先生と出会って。これまでたくさんの話をして、沢山のことを教えてくれて。

わたしね先生がいなかったらこんなにも高校生活が楽しいなんて思っていなかったかも」



自然と抱きしめる力は強くなる。


先生はそれに答えてくれて強く抱きしめてくれた。




「先生?」



「ん?」



「先生は私に会えてどうだった?」



「まりなか。まりなはこの3年間で随分と大人になったな。心も体もな。

まりなに俺は正直ぞっこんだ」