呆れていると、不意にオリと目が合った。
薄い唇を数回、パクパク開閉させて。
よかったな、と。
微笑んでくれた。
オリのおかげだよ。
ありがとう。
そう伝えるように微笑み返す。
その様子をバンちゃんとオウサマはひっそり盗み見て、目を細めていたことは知る由もない。
「俺は認めねぇからな!」
「そう言われても、付き合ってるのは事実だし」
「別れろ!」
「それはぜーったい嫌だ!」
イーッと口の端っこを横に引っ張るみーくんに、せーちゃんは悔しそうにガミガミ叫び散らす。
だからね?
ここは、病院なんですよ。
うるさくしちゃダメなんですよ。アンダースタンド?
あ、今、しん兄がせーちゃんにチョップかまして規制してくれた。
すごい。さすがだね。
「俺の目の黒いうちは、交際は許さねぇからな」
あず兄はわざと私の肩を抱いて、眼力を強めた。
2週間前みーくんに告白した後、神亀のたまり場で夜中まで続いたお説教の終わり頃に、秘密はもう嫌だったから報告したら、追加のお説教を2時間以上ぶっ通しで続けたくせに。
まだ許してくれてなかったの?
過保護なお兄ちゃんモード、炸裂しすぎだよ。
「あずきに許してもらわなくたっていいもーん」
「なんだと!?言っとくが、俺のほうが萌奈と付き合い長ぇし、信頼だってされてるんだからな!!」
「でも萌奈は俺のこと大好きだもーん!ねっ?」



