絶対領域




せーちゃんは最初、いじけて唇を尖らせていた。


チラリと私を一瞥すると、わざとらしくため息を漏らす。



「わかったよ」



もっと拗ねると予想してたのに。

随分素直になったなぁ。


今回の騒動で、せーちゃんもせーちゃんなりに成長したのかもしれない。



こうやって、皆、大人になっていくのかな。



「先にたまり場に行ってる。できるだけ早く、たまり場に戻ってきてよ?」



すぐに「うん」と返事をすれば、せーちゃんは一段と晴れやかになった。



「じゃあまたあとでね」



軽く手を振ってから、病院に入る。


エンジン音は徐々に遠ざかっていった。





病院内は洋館とは正反対。

どこもかしこもやけに静かで、足音がやけに大きく鳴る。


いやに緊張してきた。



みーくんの病室は、802号室。


とりあえずエレベーターに乗り、8階へ上っていった。




激しい鼓動が想いを飲み込んでしまいそう。


足が重たい。



みーくんの体はどうだろうか。

悪くなっていないだろうか。


今伝えても迷惑じゃないだろうか。



みーくんは、私の気持ちに、なんて返すんだろう。