絶対領域






ゆかりんがみーくんを連れて、たった今洋館をあとにした。


みーくんの体調を一番に考え、ゆかりんだけが病院に付き添うことにしたらしい。



私も、行かなきゃ。

今会わなきゃ、後悔する。



慌てて後を追おうと、扉を横切ると。



「姉ちゃん!」



後ろから片腕を掴まれた。


振り返る前に、今度は腕を前方に引っ張られる。



「え……えっ!?せ、せーちゃん!?」



ど、どうして、せーちゃんが……?

何してるの!?



誘導されるがまま、バイクで埋め尽くされた洋館の正面へ。


自分のバイクを発見したせーちゃんは、早速エンジンをかけた。



「せ、せーちゃん?」


「あいつんとこ、行くんだろ?」


「え?」



私を横目に、片腕を解放する。


ガシガシ後頭部を掻くせーちゃんは、心なしか不機嫌そう。



「翠に何か用があることくらい、わかるよ。弟なんだから」


「……もしかして、病院まで送ってくれるの?」



普段のせーちゃんなら、絶対神亀のたまり場に強制送還してただろうに。



「……さっき、姉ちゃんを困らせちゃったから。その詫び」



さっきって、オリとの過去に荒れてしまったこと?


そんなの……困ってなんかないよ。

せーちゃんが気に病む必要、どこにもない。