あ、もしかして。
バンちゃんが洋館に来る前に『約束破っちゃったから』って言ってたのは、オウサマとの情報共有のことだったのかな。
そのことを確かめようとしても、オウサマとバンちゃんは2人だけで『トーキング』を楽しんじゃってる。
これ絶対、私がいること忘れてるよね。
もういいもん。
ため息混じりに2人のそばを離れた。
階段の手すりに寄りかかってるオリを見つけ、接近してみる。
オリ、どこ見てるんだろう。
視線の先をたどれば、みーくんと笑い合ってるランちゃんがいた。
すっかりお兄ちゃんだね。
「……萌奈か」
背後から詰め寄ったのに、なんでバレたんだろ。
私特有の匂いとかあるのかも。
「ほんとによかったね、オリ」
「ああ」
おもむろに閉ざされた瞼が、また、持ち上がる。
どうして瞬きしただけで、絵になっちゃうかな。
“あの時”一緒にいて見慣れても、いつも見惚れては、胸が高鳴ってしまうんだ。
「これでやっと、お前に伝えられる」
大きな、大きな、愛おしい手のひら。
そっと丁寧に触れた頬から、ほんのり温もりを帯びていく。
『あなたは、誰?』
私とオリの出会いを想起する。
あの春の日は、私がオリの傷だらけの頬を撫でたね。
あの瞬間、あなたに恋をした。
「萌奈、好きだよ」
心臓の奥が、締め付けられる。
痛いくらい強く。



