絶対領域





私も女の子の友達が欲しいな。

深刻な悩みになりつつある。



ぼんやり悩んでいると、誰かと肩がぶつかった。


ややよろめいてしまった私を、しん兄が支える。



「大丈夫か?」


「うん。ありがと、しん兄」



しん兄の表情は、不愛想で、にこりともしない。

だけど、これがしん兄の基本スタイル。


ぶっきらぼうで表現下手だけど、わかってるよ。


しん兄が優しいこと。




「……あいつだな。今、姉ちゃんにぶつかってきたのは」



目尻をつり上げて、激高寸前のせーちゃんは、私に対してだけ感情が豊かすぎる。


ちょっとはしん兄の冷静さを見習ってほしいよ。




「どうするぅ?鎖で首を絞める?それとも体を縛って痛めつける?」

「とりあえず、とっつかまえてぶん殴る」


「2人とも落ち着いて、落ち着いて」



黒いオーラを纏ってるゆーちゃんとせーちゃんの首根っこを、バンちゃんが掴んでくれたおかげで、大ごとにならずに済んだ。


ほんと助かったよ、バンちゃん。