絶対領域





「俺、こんなんでも、一応双雷の総長だからさ。ちゃんと見てるよ。蘭次郎のことも、もちろん他の奴らのことも」


「……そう、ちょ、」


「見てれば、わかっちゃうんだよ」



みーくんがランちゃんと目を合わせようとして覗き込めば、すぐに逸らされる。


一向に目が合わない。



初めはムッとしたみーくんだったが、なぜか嬉しそうに表情をくしゃっとさせた。




「ははっ、よかった!」


「ど、どうしたの、翠くん?」


「嘘が、嘘で、安心したんだ」


「え?う、嘘が嘘って……?」




ポカンとしているのは、ゆかりんだけではない。


なんならみーくん以外、全員そうだ。




「俺と目を合わせようとしないのは、裏切った罪悪感があるってことだろ?」


「ち、違……!」


「違う?本当に?」



違う、と。

たった3文字、言い切ってしまえばいい。


けれど、ランちゃんは、上唇と下唇を重ねてしまった。



「違わねぇんじゃん」



代わりに、みーくんの唇に隙間ができて、白い歯が窺える。


いたずらっ子みたいだ。




「罪悪感があるってことは、ちょっとは双雷を好きになってくれたってことだろ?」


「……じゃねぇ」


「なら、よかった!」


「好きじゃねぇよ!俺は裏切ったんだぜ!?何も……何もよくなんかねぇよ!!」