「俺さ、蘭次郎がそんな風に恨んでたり憎んでたりしてたことはわからなかったけど、嘘は薄々察してたよ」
みーくんの顔がしかめられる。
精神的なせいか、肉体的なせいか。
もしくはその両方か。
私には、はっきりとは判断つかない。
「俺に憧れてないことも、双雷に愛着がないことも。さすがに普段の人見知りのキャラまで、正体を気づかせないための嘘だとは見抜けなかったけど」
なんで。
ランちゃんの唇がそう動くだけで、声は乗らない。
それでも、みーくんは目尻を垂らした。
「だってさ、蘭次郎、俺のこと憧れてるって話す時、必ず俺のこと見ないから」
「え……っ」
「いつどこにいても、警戒心を完全には解いてくれないから。双雷として戦う時、独りで戦ってるような気迫があるから」
「そ、そんなこと……」
「あるんだなぁ、これが。蘭次郎、嘘下手だろ?」
こんな暗い状況でも、得意げに笑う。
どの光よりも眩しい。
直視できなくて、ランちゃんの視線が足元に転がった。
完璧だったはずの、嘘。
でも、みーくんの前じゃ、敵わない。
一瞬にして下手くそに成り下がってしまう。



