絶対領域




下っ端であろうと、紅組の仲間なんじゃないの?


決して紅組に不利な行為を犯したわけじゃないのに。


そんなあっさり捨てられるものなの?



理解できなくて愕然としている私を、ランちゃんはバカにするみたいに冷笑した。




「驚くことじゃねぇだろ」


「だ、だって……」


「除名なんざ、よくあることさ。自分たちに少しでも都合の悪いことは、早めに切り捨てて処分しとく。そうすりゃ紅組自体は安全でいられんだろ?」


「情報漏洩を気にしてるくせに、そういうとこはちゃっかりしてるんだね」


「まあ、除名された時、拷問まがいなことされてしっかり口封じされたけど。……紅組の情報を売るわけねぇのにな。誰も紅組に喧嘩ふっかけたりしねぇよ」




暴走族も極道も、裏の世界の一部分であることには変わりない。


それでも、住んでいる場所によって、ここまで違うの?



身の毛がよだつ。



オリとランちゃんはこれまで、どんな生き方をしてきたのだろう。


想像すらできなくて、なぜか目頭が熱くなった。



「なあ、あんたもそうだろ?」



軽々しくオリに問いかける。

その口振りとは裏腹に、鬱憤が見え隠れしてる。




「脱走したあんたも、除名されちまった俺みてぇに、紅組の目に怯えてるんだと思ってた。……そうであってほしかった」



最後の呟きは、ほとんどかすれていた。



それが余計に切なくて。


瞬きも忘れて、ランちゃんを眺めていた。