「しかもその義兄が、協力者に助けられ、紅組を脱走した」
「っ、」
「自分一人だけ自由になりやがったんだ……!」
俯きかけたオリに噛みつく勢いで、地団駄を踏んだ。
ダンッ!!
ホール全体に響き渡る。
足裏にまで伝わってきて、痺れた。
「悔しかった、苦しかった、もどかしかった、苛立たしかった!……羨ましかった」
金の目が、揺れる。
天井のシャンデリアも、揺れてる。
ゆらゆら、ゆらゆら。
狂おしげに行き場を探してる。
「紅組が脱走者から手を引いても、俺は許せなかった。だから、一人で調査を続けて、最近ようやく足取りを掴んだんだ」
「それが、双雷だったのか……」
しん兄の独白に、ランちゃんは何の反応も示さない。
肯定、なのだろう。
「意思に反して動いた俺を、紅組は最初こそ見逃してくれてた。けど、こんな暴走族同士の対立にまで発展したと知られて、紅組から除名されちまったよ」
「除名……!?」
「最強で最恐な紅組でも、巻き込まれたくなかったんだろ。暴走族のいざこざになんか。ただでさえヤクザの世界は恐ろしいっつーのに、ガキの喧嘩にまで手ぇ出したら抱えきれなくなるしな」



