「全員揃ったな。んじゃ、行くぞ」
あず兄の合図で、皆一斉に動き出す。
「俺らの、たまり場へ」
繁華街を東側に抜けた先。
街はずれにある、大きな倉庫。
そこが、神亀のたまり場だ。
神亀の領域には、神亀のメンバーしか立ち入れない。
私は、特別枠。
といっても、“姫”なんて大層な立場ではない。
あず兄とせーちゃんにお守されるために付き添う、と表現したほうが正しいかもしれない。
校門前を離れ、繁華街を通る。
学校帰りの学生の姿が多いな。
いいな、放課後に遊ぶとか青春ぽくて。
私たちは学生の放課後というより、ボディーガードの仕事みたいだ。



