私は2人にどれだけの苦痛を溜め込ませていたんだろう。
どれだけの時間、悲しませていたんだろう。
……とうに察していたはずなのに、見て見ぬフリをしてた。
いっそ私が悪いと責められたほうが、よっぽど楽だなんて考えてしまう。
ひどいな、最低だな、私。
私にできるのは、受け止めることだけ。
全部、聞くよ。
聞かせてよ。
真実のパズルを完成させた後で、ありったけ。
「わかったか?」
「……う、ん」
せーちゃんはまだ言い足りなそうだったが、一瞬私と目が合うと、力の入っていた肩を落とした。
前回のお説教と比にならないくらい、長くて厳しくて辛くなっても、いいよ。
あず兄とせーちゃんが、“あの時”から解放されるのなら。
私は喜んでお説教を受けるよ。
「萌奈」
あず兄は屈めてた背中を元に戻して、呼びかける。
「緋織は今も逃げてるっつってたな。それって……」
「たぶんあず兄の想像通りだよ」
オリを守りたかったのに、守れなかった。
魔の手はいつだって、あっという間に距離を詰めてきて。
気づいたら、何かが起こってた。
「さっき、今までの惨事は全部紅組が黒幕って、バンちゃんが話したでしょ?あれは、オリやオリと関わる人たち……要するに双雷と神亀を傷つけて、潰すため」
自由って、いつ、どうやったら手に入るんだろう。



