絶対領域




あず兄、しん兄、ゆーちゃん、せーちゃん、バンちゃん。

仲間を、友達の仲間を、追い詰めるのは辛いよね?


友達のいる双雷を、自分たちの大事な神亀を、これ以上傷つけなくていいよ。



お説教なら、あとで私も一緒に受けるよ。



だから、今は。

もういいよ。


責めなくていいんだよ。



敵対心を消すには、根本から断ち切っていかなくちゃ。


ぶつかって訴えかける相手は、下っ端たちじゃない。



“あいつ”だ。




「私たちを信じられないなら」



一歩、一歩。

洋館の入り口へ、近づいていく。



「戦いたいのなら」



下っ端たちの壁の前で、立ち止まる。


軽くヘルメットを上に投げてキャッチしてから、腕を大きく振りかぶった。



これからの行動を察したのか、下っ端たちが左右に分かれていく。



「まずはこの状況を作り出した元凶と腹割って話してみようよ」



ニタリ。

不敵に笑い、ヘルメットを素早く飛ばした。


目の前にあった集団の間にできた道を突き抜けて、扉を通過する。



その奥のだだっ広いホールに。

パシッ、といい音が反響した。



下っ端たちの壁がないおかげで、よく見える。


ヘルメットを片手で鷲掴みにしてる、“あいつ”が。





「ねぇ、ランちゃん」