絶対領域




ここにいる全員が、真実を知る権利がある。

非を認める責任がある。


明かさなければ。


皆の前で、全てを。



“天使”としてじゃない。


“矢浦萌奈”として。


友達として、仲間として。

罪と罰を背負う、一人として。



私は、もう、間違えたくない。




不意に、ギィィ、と。

重厚な響きがこの場を制した。



扉側に寄っていたヘルメットが、私の足元までコロコロ転がってくる。


あ、やっぱりへこんじゃってる。先に謝っといて正解だったね。



「一体何のお、と……じ、神亀の奴ら!?」



扉の向こうから、双雷の下っ端が1人、顔を出した。


さっきヘルメットがぶつかった音で気づかれてしまったんだ。

もう少し力をセーブしとけばよかった。




「また俺らを潰しに来たのか?あ!?」


「返り討ちにしてやるよ!」


「俺らの総長に傷を負わせやがって……!」


「お前らだって萌奈さんをぶっ倒したろうが!」


「今日こそ殺ってやる……!!」




後ろにいる神亀の上層部は、下っ端たちに隠れて見えていないようだ。


私とみーくんが重体だったせいで、双雷と神亀の溝が深くなってる。