そういえば。
双雷のたまり場には幹部が居残ってるのに対し、神亀の幹部メンバーは全員病院にいる。
あの騒動から3日しか経ってないにもかかわらず、いくら過保護だからって不用心じゃない?
「どうかしたか?」
しん兄が、怪訝そうに覗き込む。
「神亀側はなんで、あんなことがあったのに、下っ端たちだけたまり場に置いてきたの?普通双雷みたいに、1人や2人見張り役を残しておくでしょ?」
「あいつらが、萌奈のこと心配だから行ってきてください、って……」
そこでしん兄も黙り込んだ。
皆が私を心配してお見舞いに行くのはわかるし、不自然さはあまりないけど……あの乱闘状態を作り出した下っ端が、幹部メンバー全員を追い出すみたく背中を押すだろうか。
もしかしたら、双雷の下っ端がたまり場に来襲しに来ることだってあるのに。
警戒心がなさすぎる。
「……わざと、か?」
あず兄の喉仏が上下に動く。
神亀の下っ端は、双雷の領域を侵害して、来襲する気?
そのためにわざと幹部メンバーを誘導したの?
偽りの正義を掲げて。
双雷の下っ端がほとんどいて、ピリピリしてるわけじゃなく、気まずそうって言ってたっけ。
それが本当なら、双雷側は神亀の下っ端が再戦しに行くことを知らされていない。
まさか、双雷側に悪印象を増幅させるために……?



