「ねぇあず兄、しん兄、ゆーちゃん、バンちゃん、せーちゃん。ゆかりんやオウサマも」
観念したように、順々に視線を重ねていく。
ここにいない双雷の皆も。
私の過ちを赦【ユル】して。
「甘えてもいい?頼ってもいい?」
寄りかかったら、重たくならない?
後悔しない?
ためらいがちな聞き方に、どの双眼も凛と輝いていた。
「私と一緒に、居場所を守ってくれる?」
1秒の隙間も作られなかった。
「あったりまえだろ!」
「もちろんだ」
「やーっと言ってくれたぁ」
「守ろう。今度は、皆で」
「うん……うんっ!!一緒に、守りたい!」
「ぼ、僕も、い、いいんですか?」
「萌奈氏のお願いとあらば、断るわけにはいくまい」
声が入り混じって、誰が何を言ってるのかほとんど拾いきれなかった。
だけど、伝わってくる。
それぞれの熱と、気持ちが。
約束を果たそう。
天使と悪魔の盾は、もう要らない。
皆でぶつかっていくんだ。
「皆、一緒に来てほしい。双雷の洋館へ」
「え?ぼ、僕たち双雷のたまり場、ですか?」
「うん。裏切り者に、会いに行きたいの」
盛り上がっていた雰囲気が、一瞬にして張りつめる。
「裏切り者って、どういう……っ」
「詳しい事情はあと。今はとにかく、裏切り者がまた何かしでかす前に行動しないと」
動揺をあらわにしてるせーちゃんに、少し早口に告げる。
紅組や裏切り者の動向を全く把握していない以上、時間の余地があるのかどうかも定かではない。
だから余計に焦ってしまう。
「気になるだろうけど、洋館に到着したら、双雷の下っ端もいるその場で…………あれ?」



