絶対領域






夕方になっても、まだ暑い日差し。


それを感じさせず、ゆーちゃんの隣で涼しそうにアイスを食べてる男の子が一人。




「おっ」


「どうしたの、バンちゃん」


「見て、当たった」


「わっ、ほんとだ!すごいね」




バンちゃんが食べていたアイスの棒には、はっきり「あたり」と刻まれてる。


初めて見た。

本当に「あたり」ってあるんだね。




バンちゃんの本名は、素野 万【ソノ バン】。


私と同い年の高校2年生。



薄い赤茶色の髪の毛先を、淡いピンクパープルに染めている。


ピアスホールはないが、言わずもがなあず兄のお仲間。

ヤンキーだ。



普段は優しい紳士のようで、頼りになるんだけど……。


たまに不敵で、飄々としてる、掴みどころのない人。

でも、揺るぎない信念を持っている、真っ直ぐな人。




5人とも西校の生徒。

皆、外見が整っているから、一緒にいると目立つんだよね。


校門前だと余計に、下校する生徒の好奇な視線を浴びる。



「……早く来ないかなぁ」