そういえば、オウサマって“あいつ”以上に憤ってたよね?
倒れてるみーくんを運ぶのをあず兄が手伝おうとしたら、『ノープロブレム』ってばっさり拒否してたし。
今はどうなんだろう。
チラッとオウサマを一瞥してみる。
目が合って、麗しい笑みを向けられた。
うーん……感情が読めない。
流れで隣を見ると、次はバンちゃんと目が合った。
まだ若干呆然としている。
バンちゃん、病室で言ってたよね。
『君も、全部知ってる。俺のことも、彼のことも、3日前の出来事も全部』
あれも、ヒントだったんでしょ?
「バンちゃんの言う通りだった。私、何もかも知ってたね」
バンちゃんのこと、みーくんのこと、3日前の出来事も。
きっと私が一番わかってる。
「……そ、っか。本当に、思い出せたんだ」
気が抜けたように表情が和らいでいく。
ちょっと困り顔になって、淡いピンクパープルの毛先をいじった。
「俺、萌奈ちゃんに謝らないと」
「え?バンちゃんも?なんで?」
「約束破っちゃったから」
「約束って……」
「あっ!!」
会話の途中に割り込んできた、この大声の主はどこのどいつだこら。ここ病院だぞ。
声のした廊下の突き当たりのほうを振り向く。
「……あ、やば」
ズンズンこっちに近づいてくる、男子が4名。
全員怖い形相をしてる。



