ザシュッ……!
切れ味のよい刃が、学ラン越しにみーくんの横腹を突き刺す。
ポタリ、と鮮血が滴った。
「ぅぐっ、」
「みーくん!!」
私に痛みはなかった。
それはみーくんが片手でナイフの柄を掴んでくれたからだ。
手のひらから滑り落ちたナイフは、大嫌いな紅の色に染まっていた。
横腹を抑えるみーくんに腕を伸ばす。
――バンッ!
触れる刹那、虚ろな射撃音が鼓膜をつんざいた。
次いで、何かが割れる音がする。
思わず腕を止める。
空を切った手元に、はらりはらりと降ってきたのは、透明な欠片。
恐る恐る顔を上げると、照明のガラスが銃弾によって撃ち抜かれていた。
誰が。
どこから。
もしかして、あの金色の瞳のあいつが。
疑心が、確信に変わっていく。
身体よりも脳がフル稼働してる。
今は残りわずかな体力を駆使して、みーくんと一緒に逃げるべきなのに。
足が鉛のように、重い。
動け!
動いてよ……!
誰にも、傷をつけないで。
ガラスの破片がキラキラときらめいていて、異様に綺麗なのが、ひどくむかついた。



