絶対領域





花火をした、あの日。

笑って楽しんで、語り合った。



『運命でも奇跡でも、偶然でもなんでもいいよ』


『またこうやって皆と花火ができたら、俺はそれで幸せだよ!』



私たちの出会いは、奇跡か偶然か、はたまた必然かなんてどれでもよかった。


友達であることは変わらない。



そう、信じていた。



でも、きっと。

全ては運命だったのかもしれない。


この繋がりも、再会も。



運命に委ねるがままに、私は“天使”になる。


そう考えたら、ちょっとだけ心が軽くなった。




私は、誰?

――私は、天使。


あなたは、誰?

――あなたは、双雷。あなたは、神亀。



仲間ではないけれど、敵でもないよ。



ちゃんと教えなければ。


私が道しるべになって、導いてあげるんだ。





決意を新たに、倉庫内に立ち入る。


争乱の手前で静止しても、誰もが戦闘に夢中で気づかない。



すぅ、と息を吸い込み、大きく口を開けた。



「♪~~♪~~」



ショパンの「別れの曲」。

私がオルゴールになったように、歌う。


敵だと思い込んでる相手から、一度私に視線を集めた。



この曲を奏でるオルゴールが欠片になったなら、別れは訪れないよね?